紫御殿†Purple heart
電話を切る母に、言うつもりの
無い言葉を投げかける私が
そこに居た。

「ミノルと会う約束
 してたんでしょ?
 
 会ってくればいいじゃない
 私の事なんて気にする事
 無いよ」

「いいのよ
 彼も最近忙しいのよ
 就職活動がうまくいってない
 みたい・・・
 
 何か温かいもの淹れるわね
 紅茶にしようか?
 
 そうだ、学校を休んで
 何だけど・・・二人で買い物
 にでも出かけない?
 ママ、行きたいところが
 あるんだけど、どう?」

私は、ソファーに広げた物を
掻き集めて、自分の部屋へと
向かう。

「ごめん
 そんな気分じゃないの
 私、部屋に居るから
 紅茶、そっちに持ってきて」

「分かったわ・・・・・・」

母の悲しい横顔を見ても

何も感じない。
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