紫御殿†Purple heart
浅緋の左手の薬指で
今も輝き続ける、結婚指輪。

悲しい・・・・・・

携帯電話が鳴る。

「もしもし・・・?」

「レイ、どうした?
 何かあったのか
 今、どこに・・・・・・」

「いずると・・・
 一緒に、いるの」

「そうか、そうだったな・・」

「もう、切る、ね」

浅緋の耳に、澪の鼻を
すする音が微かに聞こえた。

「待って、レイ
 お前、泣いてるのか?
 どうした、リコに
 何か言われたのか?」

「ううん、泣いてないよ
 リコちゃんは、今
 そこに居ないの?」

「ああ、ここにはいない・・・
 本当に何でもないのか?」

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