紫御殿†Purple heart
「いずる・・・?」

「いつ、離れればいい?」

周りの人達の視線に貴方は
今頃、気がついた。

「走って逃げちゃおうよ」

「レイ、走れるか?」

「うん、待って

 靴、脱ぐね」

私は、いずるの腕に
抱かれながら

靴を片方ずつ脱いで
手に持った。

「いいか?」

「いいよ、1・2・3」

私達は、抱き合う腕を
解いて、手を繋いで

人の群れを抜けて
駆けて行く。

貴方の手に握られた

私の手・・・

放れないように

強く握り締められている。

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