紫御殿†Purple heart
楽しみにしていた

音楽の授業。

いずるの声・・・

教壇に立つ、素敵ないずるの姿
を眺める事のできる幸せな時間

私にとって、学校で唯一
意味のある時間・・・授業。

この楽しいはずのひと時さえ
今の私には、不愉快に感じて
しまう。

この酷い、頭痛のせいで

何もかもが台無し・・・

「ここ、テストに出るから
 ちゃんと覚えるように・・」

その言葉と共に、授業の終わり
を知らせるベルが鳴る。

音楽室を出て行こうとした私は
立ち止まり、振り返る。

そして、いずるを

貴方だけを見つめた。

瞳と瞳が重なる・・・

いずるの唇が動いた。

『だいじょうぶ』
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