紫御殿†Purple heart
困った表情を浮かべる浅緋。

貴方に一歩、二歩と近づく
私は、その胸に頬を寄せた。

浅緋の香りに包まれる・・・

「アッちゃん、痛いよ」

「レイ、大丈夫か?

 どこが痛い?」
  
「頭が、割れそう・・・」

痛むのは、頭だけじゃない。

胸が痛むよ・・・

様子のおかしい私を、心配する
浅緋の大きな声は廊下に響き

その声に気づいた、いずるが
音楽室から廊下へと出て来て
浅緋に身を委ねる、私の姿を
見ていた事など

私は、知らずに・・・
浅緋の背中に両腕を回して
甘えてみせた。

浅緋の大きな手が
私の頭を優しく撫でてくれた。
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