紫御殿†Purple heart
「あら、もう
 お見えになったわ
 どうしましょう」

「ママ、雑巾」

母から、雑巾を受け取った
里湖は、バケツごと片付ける。

急いで、階段を下りる私。

玄関のドアの前に貴方は立つ。

「その節は、姉のリコが
 大変、お世話になりました」

母が、いずるに頭を下げた。

「いえっ・・・」

緊張と、母の対応に戸惑う
貴方の瞳が、私を見つけて
ほっとしている。
 
「ママ、立ち話も何だから
 中に入ってもらったら」

貴方の表情は、姉の姿に
また少し、戸惑っている。

「さあ、どうぞ、どうぞ」

「あの、これ・・・
 食べてください」

貴方は母に、紙袋を渡した。
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