紫御殿†Purple heart
私は、いずるの背に夢中で
腕を絡ませた。

「どうした?」

「もっと、強く抱きしめて

 もっと、強く」

いずるの逞しい腕の力
甘い香りに酔いしれる。

私は、こうして

忘れていく・・・

アサヒ・・・

貴方の全てを忘れる。

「お前だけは、ずっと
 俺の傍に居て

 俺の傍に・・・」

いずるの腕の中で頷く私。

「ずうっと、傍に居るよ」

そして、瞳を閉じて安らぐ。

気にも留めない・・・

インターホンの音・・・

私は今、とっても幸せ。
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