紫御殿†Purple heart
「・・・ごめんなさい」

横たわる私の瞳から
流れた涙はこめかみを通り
耳の方へと流れていく。

私に覆い被さる貴方は
全ての力を抜いて私に身を
委ねた。

貴方の重み・・・

少しも苦しくなんて無い。

今度は、私がいずるの頭を
優しく撫でてあげた。

そして、耳元で囁いた。

「いずる、帰っちゃうの?」

今度は、貴方が囁いた。

「帰りたくない

 もう少しだけ
 こうしていよう」
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