紫御殿†Purple heart
「アッちゃん、駄目だよ
 スーツ、このままじゃ
 皺になっちゃう

 もう一度クリーニングに
 出さなきゃいけなく・・・」

「レイ」

後ろから、私を抱きしめる浅緋

ハンガーに吊るされたスーツを
何着も、一度に手に持つ私

身動きが取れないよ。

「レイ・・・」

貴方の大好きな声が
私の名前を呼ぶ・・・

「ミウラって呼んだ・・・」

「騒動に、これ以上
 お前を
 捲き込みたくなかった」

「電話で話した時
 カモシタさんの声が
 聞こえた・・・」

「絵画展に出展する絵を
 部員が描いてた」

抱きしめられる腕の中で
私は、ほっと息を漏らした。
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