紫御殿†Purple heart
耳元で、貴方は囁く。

「レイ・・・限界
 
 お前に
 触れていい?」

私の手から、落ちたスーツは
ダンボールの中へと戻る。

そして、振り返る私は
浅緋の胸に頬を寄せて
頷いた。

「私に触れて」

私には、もう
迷いなんて無かった。

いずるを想う気持ちよりも

浅緋を想う気持ちの方が
勝っていた。

私は

やっぱり、浅緋が好き。

幼い頃から、ずっと
貴方に愛されたかった。

貴方だけに・・・

寝室に、二人きり・・・

裸のまま、ベッドに座った
姿勢で抱きしめあう。

貴方の手が、私の頬に
かかる髪を後ろへと
掻き揚げて、額と額を
合わせ、甘い瞳で
私を見つめる。
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