紫御殿†Purple heart
貴方が、ベルトに触れ
勢いよく引っ張ると
ベルトはスルスルと伸び

カシャっと取り付けられる
音がした。

「ありがとう」

「レイ、車、出すよ」

「うん・・・」

車内を沈黙が包む。

もう、かれこれ
30分は、こうして二人とも
何も話さない状態が続く。

息苦しい、車内。

『帰って無いのか?』

貴方の質問・・・

私は、まだ答えていない。

「いずる、私ね・・・
 貴方に話さなきゃ」

「レイ、待って
 
 今は
 運転に集中したい」
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