紫御殿†Purple heart
それで、いいの・・・?

『電話では伝えきれない
 お前に逢って話したい』

「いずる、貴方の話
 私、何も聞いていない」

「聞かなくていいさ・・・」

「でも・・・」

いずるの細くて長い指先が
明るいままの私の髪に
触れる。

ペンだこのある中指に
髪が絡まる。

「レイ、俺の話を
 聞いたところで
 お前の気持ちは
 俺へは戻らないだろう?」

「ごめんなさい」

「もう・・・
 話す事は何も無い」

あっけない幕切れ・・・

昨日と同じように、私は
車から下りた。

何も言わないまま
貴方の車は、私を残して
走り去る。
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