紫御殿†Purple heart
「あれは、その前に
 私が、レイに
 奢ってもらったからで
 ・・・・・・」

「そんな事、もう
 気にしなくていいよ
 
 サワちゃんや皆が
 待ってる、行こう」

「うん、レイ、ごめんね」

結局、こうしていた間も
彼女、鴨下さんは
教室には戻って来なかった。

私は、彼女と仲が良かった
クラスメイトの言葉が
引っかかる。

帰り際、何気なく見つめた
保健室の前・・・

廊下の、窓の傍で
浅緋と話すのは、鴨下さん。

二人は向き合って何かを
真剣な表情で話す。

彼女の手が、浅緋の腕に
触れた。

何を話しているの?

浅緋の口元が少しだけ
緩んだ。

その微笑みは私の胸を
苦しめる。
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