紫御殿†Purple heart
その唇が離れた時・・・

『・・・レイ』

澪の名前を呼ぶ浅緋に
彼女は悲痛の表情を
浮かべる。

悲しげな瞳で

浅緋を見つめる

『すまない・・・
 
 どうかしていた』

『先生、いいよ
 気にしないで』

『本当に、すまない
 何て事を俺は・・・
 ごめん』

『もう、やめてよ・・・
 
 先生、キスぐらい
 誰だってするでしょう
 私にとっては、こんなの
 挨拶代わりだよ』

『すまない・・・』
 
『気にしなくていいよ
 
 忘れなよ

 私も忘れるから・・・』

彼女は、そう言い残し
廊下を走って行った。
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