紫御殿†Purple heart
大好きな手が、洋服の中へ
そして、胸元に触れる。

私は、甘い息が洩れない
ように下唇を噛んだ。

「レイ、一回家に戻ったの?
 だったら、声ぐらいかけて
 ・・・・・・」

母の小言・・・

今の私には聞こえない。

私は、携帯電話を持つ手を
耳から外し、下ろした。

振り返る私の唇を
貴方は、激しく奪う。

貴方は、私を求めてくれる。

私、嬉しいよ・・・

誰でも無い、たった一人

貴方だけに必要とされたい

貴方だけに求められたい

不安な気持ちは

消えてなくなる。
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