紫御殿†Purple heart
さっきの表情・・・

鴨下さんは、きっと
浅緋の事が好き。

ガラガラガラ・・・

ドアを閉める音が
教室に響く。

「こんなところで
 何してる?」

「せん・・・」

「先生」

鴨下さんの声に
掻き消される、私の声。

「貴方は、この場所で
 私に、キスしたでしょう?」

鴨下さんは、浅緋の腕を取り
自分の両腕を絡ませて甘える。

そして、見上げた瞳から
零れ落ちる涙・・・

男性の心を掴む為に
計算しつくされた涙・・・

その涙に、浅緋の指先が
触れた。

「先生
 私の事、好きでしょう?」
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