紫御殿†Purple heart
「ほらっ、何なら
 お金だけでいいよ
 出しなよ」

一人の生徒が、彼女の
財布を取ろうとした。

「やめてよ」

私は、その場所に近寄り
声をかけた。

「やめなよ
 
 私、そこで見てたけど
 それって恐喝になるよ

 十年以下の懲役刑じゃ
 無かったっけ?」

「やばっ、行こう」

取り上げた財布を捨てて
走って逃げる三人組。

私は、彼女達を知っていた。

確か、夏休みに
レストランの前で出会った
鴨下さんの友達?

そう、渇上げされそうに
なっていたのは、鴨下さん。

「大丈夫?」
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