紫御殿†Purple heart
ドキドキが止まらない。

願ったはずの

時間なのに・・・

「はあ」

深い息をつく私に
浅緋は言う。

「同じ相手は嫌か?」

「嫌じゃないよ
 嬉しい・・・」

浅緋を、見上げる私

私を、見下ろす浅緋。

至近距離で見つめ合う。

「嬉しいの?」

耳元で問いかける声

囁く・・・

「うれしいよ」

私の声、きっと鴨下さんに
聞こえたと思う。

浅緋は、私の手を強く
握り締めてくれた。

私は、その手を握り返す。
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