紫御殿†Purple heart
浅緋の寝顔を覗き込む私は
長い睫毛に見惚れる。

すると、浅緋が目覚めた。

「レイ、来てくれたのか?
 ありがとう」

無理して、上体を起こす
浅緋に、私は言う。

「アッちゃん
 起きなくていいよ
 眠ってていい・・・」

浅緋の額に手を当てると
まだ、熱がある。

「氷、買って来たから
 水枕、かえるね

 汗、掻いてるから
 着替えた方がいいね

 それから、えっと
 水分はちゃんと摂れてる?」

「ああ、飲んでるよ」

「ご飯は、何か食べた?」

「いや・・・」

「何か食べなきゃ駄目だよ」

「何も食べたくないよ」

子供のような貴方・・・

私は、愛しくて堪らない。
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