紫御殿†Purple heart
「レイ、ありがとう
 でも、ごめん
 
 まだ、食べたくない」

「そうかぁ、そうだね」

浅緋の額に、手を当てる。
 
「まだ少し、熱があるね
 ほらっ、横になって

 私、何か冷たい物
 淹れるね」

その場を離れようとした
私に、貴方は言う。

「レイ、おいで」

「私、今は眠たくないから
 後で行くよ
 
 ねぇ、小さな声でテレビ
 見ててもいいかなぁ
 
 お正月だし、特番してる
 ・・・・・」

「レイ、お願いだ」

貴方の元へ、私は近づき
ベッドの傍に立ち
座る貴方を見下ろす。

貴方は、私の手に触れ

細く長い指で、優しく
私の指先をなぞる。
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