紫御殿†Purple heart
私は、ほんの少し、山岸先生
の事を羨ましく思うのだった。
 
彼女達は、面白くない顔を
していたが

貴方は、気にも留める事は無く
眼鏡をかけ、授業を始めるの
だった。

音楽史がどうの、こうの・・・

さっぱり、意味不明な授業
だけれど、いつもよりは
分かりやすくて楽しくもあった

楽しい・・・それもそのはず

教科書を朗読している、貴方の
眼鏡の奥、伏し目がちで
綺麗な瞳を

ずっと、見つめていられる時間

囁くように、呟くように
語りかけて微かに吐息がもれる
貴方の声を
 
ずっと、聞いていられる時間。

ずっと

貴方の声を聞いていたい。
< 72 / 578 >

この作品をシェア

pagetop