紫御殿†Purple heart
「忘れ物って、それ・・・
 それって授業にいるの?」

真面目な顔で頷いた私を見て

貴方は、少年のように笑う。

その笑顔は

私の母性本能を擽る。
 
『ふたつの恋をして

 恋に夢をもてなくなったはず
 じゃなかったの?

 懲りずに、また恋をするの?

 やめなよ、傷つくだけだよ』

私の中に潜む、過去に傷ついた
わたしが言う。

『また、きっと、傷つく

 苦しくて苦しくて堪らない

 日々に戻るの?』

止められないの・・・

二人だけの時間は

チャイムの音と共に終わる。
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