紫御殿†Purple heart
その場に立ち止まり
振り返る私に

貴方は言う。

「お前・・・
 俺の傘、持ってるだろ
 今度、返して」

そう、私が持っている黒い傘は

貴方の傘。

「私の事・・・
 憶えていてくれたの?」

「ああ
 雨に濡れた姿で俺を誘った
 ・・・・・・
 確か、お前にも
 ガキって言ったよな俺?
 ・・・・・・
 お前に、貸したはいいけど
 傘、あれしかなくて
 困ってたんだ
 
 用件はそれだけ
 呼び止めて悪かったな
 もう、行っていいぞ」
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