恋咲
「お前、一瞬俺の事こんな奴じゃなかったと思っただろ?」
げっ
当たってるよ…。
「じゃあ逆に聞くけど…。なんで猫被ってんの?」
竹井はふっとニヤついた。
そして、口にした言葉は…
そこまで回想していると…。
翔が、「優馬!」と言った。
「え?」
俺はすっとんきょうな声が出てしまった。
「聞いてなかったのか?」
はぁ~と呆れ顔で言われた。
「わ、悪い」
「いいよ。で、俺顔洗うけど。優馬はどーする?」
「…じゃ、俺もついてく」
「わかった」
俺達は男子トイレへ向かい、翔は顔を洗った。
Aクラスへ行くには他のクラスを通らなきゃ行けねぇ。
だから顔を洗ったんだろうか?
まぁそれはそれとして…
他のクラスの奴ら、俺らの事見すぎだろ…。
…翔がいるからなんだろうけど。
こいつが遅刻すんのは珍しいからな。
…でも、先生も見てるってどうよ?
ちょー目見開いて翔の事を顔で追ってる。
前半クラスの先生らは皆同じ反応。
この学校は前半クラスと後半クラスで分かれてる。
階段を境目にして。
A~Dは前半。
E~Hは後半。
で分かれている。
ので、B~Dのクラスは皆同じ反応。
…やっとAに着いたぜ。
すると、先生の大きな声が聞こえてきた。
うけるー。
先公声でけぇ。
なんて呑気に思ってると。
「…うるさ」
翔はウザそうな顔をして片方の耳に人差し指を突っ込んでいた。
ガラガラッ
翔が後ろの扉を開いた。
クラスの奴らがバッとこちらに振り向く。