恋咲
あたしは海斗さんに電話した。
咲月の事で了承を得るために。
4回のコール後…
「…もしもし~?」
この緊迫した空気が、一気に海斗さんによって晴らされた。
「あっ、海斗さん。今から咲月と話したい事があるので、咲月借りていいですか?」
「話したい事?」
「…はい」
「…そっか。いいよ!」
海斗さんはあたしの声で気持ちを察してくれたのだろう。
「ありがとうございます!」
咲月に向かってウインクした。
すると咲月は、パァッと顔を輝かせた。
「それじゃあ、話し終わったら咲月を送るので!」
と少し弾む口調で話した。
「あ、いいよ!」
え?
何故か否定されてしまった。
咲月は海斗さんにとって大事な妹なのに、1人で帰らせていいと言っているのだろうか。
しかし、そんな疑問はすぐに消え去った。
「俺が迎えに行く。だから、話し終わって咲月が帰れるようなら俺のケータイに電話かメールしてくれる?」
…なんだ、そういう意味か。
こんな勘違いするなんて、あたしもまだまだだな。
「はいっ!わかりました。ありがとうございます!」
「いえいえ。じゃあ、またね♪」
ピッ
ツー、ツー
先に通話を終わらせたのは海斗さん。
あたしも、
ピッ
電源ボタンを押した。
「海斗さんが迎えに来てくれるって!」
はしゃいだあたし。
「ホント!?わざわざお兄ちゃんが来てくれなくても大丈夫なんだけどな…」
ちょっと困ってる咲月。
あたしならテンション上がりまくっちゃうけどなぁ。
まぁ、咲月は海斗さんに迷惑を掛けまいとして言ってるんだろうけどね…。
でも…
「それほど咲月を大切に思ってるんだよ♪」
あたしがニコッと微笑むと、
「そ、そうかなぁ…?」
と照れ笑いを浮かべていた。