恋咲
「絶対そうだよ!」
あたしが力強く放った言葉に。
少し…
いや
かなり驚いていた。
「あ、ありがとう」
まだ戸惑っているのか、苦く微笑んだ。
「…じゃあ、行こっか♪…はい!」
と咲月に右手を差し出した。
「うん!」
左手であたしの右手を握った咲月。
その時見せた笑顔が可愛くて、あたしの心が温かくなった。
さっきまでドンヨリだったのに。
やっぱり海斗さんと咲月はすごい。
2人がいるだけで皆が笑顔になっていく。
もちろんあたしだってその1人だ。
嫌な事があっても2人が微笑んでくれるだけで、気持ちがすっと変わる。
だからあたしもずっと笑顔でいられた。
…なんて。
染々しすぎだよ、あたし。
ちょっとクサかったかなぁ。
でも…
咲月は笑顔の方が可愛い♪
絶対!
親みたいな事を思っていると、白い3階建ての一軒屋が目の前に聳(ソビ)え立っていた。
「着いたね♪」
あたしは顔だけ咲月の方に向けた。
「うん!」
咲月はニコッと満面の笑み。
ガチャ
「ただいま~。お母さん、咲月来てるから」
「おかえり。あらあら、咲月ちゃん!いらっしゃい♪」
お母さんは咲月が大好き。
あたしの方がお母さん以上に咲月の事だぁい好きだけど。
心の中でお母さんに対抗心を燃やしていた。
「今日、クッキー焼いたの!食べてって」
なんとタイミングの良い事。
「じゃあ、後で取りにくるね」
あたしは自分が取りに行くのが普通だと思っていたので、お母さんに向かって笑顔で言った。
すると、お母さんの反応は…怖いものだった。