恋咲
歩美の気持ち *咲月*
どーしてだろう…。
なんで歩美ちゃんは怒ってるんだろう。
もしかして昨日のことかな?
…それよりも掴まれている手首がすごく痛い。
すると、ピタッと立ち止まり私の手首を解放してくれた。
ガラッ
歩美ちゃんは私を何処かの空き教室へと連れてきていた。
上を見ると、何もかいていない?
ここは誰も使わない教室なのかな?
「…中、入って」
静かに呟いた歩美ちゃんに不思議と怖いという感情は生まれなかった。
さっきは怖いって思ったのに。
逆にどうしてか、悲しくなってくる。
私はこくんと頷き、教室の中へと足を踏み入れた。
私の後に、歩美ちゃんも教室に入ってきた。
ガラガラッ
扉が閉まり、歩美ちゃんは私に近寄ってきた。
机や椅子など荷物は、後ろの方にあったので前の黒板側には、何もなかった。
「歩美ちゃん…?」
歩美ちゃんは俯いていて何も喋ろうとしない。
「あゆ」
“歩美ちゃん?”と話しかけようとしたら、大声で、
「なんで!!」
と言われてしまった。
ビクッ
あたしの肩は小さく揺れた。
「なんで…なんで友美があんたと登校してるのよ!!」
バッと顔を上げ、キッとあたしを睨む。
でもその顔は、何故か泣きそうで寂しそうだった。