恋咲
ガラッ
教室の扉を開けたのは先頭の友美。
もう授業が始まる前だったので、皆は席に着いていた。
クラス全員の顔がバッと私達に向けられる。
その途端、静かだったクラスがざわついた。
皆、一斉に私達に駆け寄ってきた。
まず、女のコ全員は友美に。
男のコ全員は竹井くんに。
2人はそれぞれの中心で、慌てていた。
…質問攻めにあっているのかな?
少し首を傾げる。
すると、次は私が女のコと男のコに囲まれていた。
なんで私はクラス全員!?
驚きを隠せないでいると、1人の女のコが…。
「大丈夫だった…?」
と私の頭を撫でてくれた。
それを見ていたのか、友美はあたしの所まで来て…「咲月の頭をなでなでするのは、あたしの特権だから!あたし以外は触っちゃダメ!」また抱きついてきた。
クラスは呆然と見ていた。
すると、「…しょーがないなぁ」そう言うとあたしから離れ、「今回は特別!あたしの咲月を触り放題にしてあげる!」
「あっ!でも、男子はダメ~」
と付け加えた。
「…いやいや。普通触んねぇって…」
やれやれといったように首を振る男のコ。
「…でも触りたいんでしょ?なでなでしたいんでしょー?」
「うっ…。それは…」
「今日は許す。でも頭なでなでだけだからね?」
と友美が言った瞬間…。
「「よっし!!」」
男のコ全員が叫んだ。
…私の意見はぁ?
友美をチラッと見ると…ウインクして、“だいじょーぶ”と口パクで伝えてきた。