恋咲
何が大丈夫なの!?
友美に近付こうとした、その時。
「わゎっ…」
女のコに頭をなでなでされていた。
しまいには、友美みたいに抱きついてくる。
でも皆が1人1人…「大丈夫?」とか「心配したよ」とか声を掛けてくれて。
それが温かくて、言葉の代わりに…笑顔で感謝の気持ちを表した。
女のコはまた抱き締めてくれて。
男のコは顔を真っ赤に染めてまた頭をなでなでしてくれた。
「大丈夫だったか?咲月…」
「うん、大丈夫。ありがと、優馬くん♪」
優馬くんはそっと頭に手を置いて、ポンポン優しく撫でてくれた。
「…今、何つった?優馬…」
男のコ達は今にも優馬くんに飛びかかりそうだった。
「えっ?何で?」
キョトンとする優馬くん。
私も意味がわからない。
「いいから…」
「…。大丈夫だったか?咲月…だけど?」
「…咲月、だと?」
「げっ!」
「お前いつの間に南美のこと咲月って呼ぶようになったんだ?あぁ?」
腕と腕の間に優馬くんの首がすっぽり入っていた。
「ギブ、ギブ!まじヤバいから!」
「フハハ。苦しめ、苦しめ」
「ぎゃあ~。お助けを~~」
もういつの間にか劇みたいになっていた。
男のコ達のやり取りを見ていて、
楽しいクラスだな…
と改めて思う。
面白すぎて、思わず吹き出してしまった私。
すると、ポンポン。
あたしの頭を優しく撫でている竹井くん。
振り返ると「良かったな。楽しいクラスで」優しく、それはもう天使みたいな笑顔で微笑んでいた。
「うん!」
私も微笑み返した丁度その時。
ガラッ
社会の先生が教室に入ってきた。
「遅れて申し訳ない」
私達は急いで自分の席に着いた。
幸い、社会の先生は目が悪かったため、私達が立っていたことに気付いてはいなかった。
それに、もうおじいちゃんだし。
それにしても…。
歩美ちゃんの姿が見当たらない。
何処にいるんだろう…。