恋咲

友達 *咲月*


どうしよう。
歩美ちゃんが帰って来ない…。
もう放課後なのに……。
鞄も忘れてる。

「どうしよう。歩美ちゃんが…」
あの後から帰って来てない。
「…私のせいだ。私が歩美ちゃんを悲しませちゃったから…」

「咲月のせいじゃないよ…。あたしが追い詰めちゃったから」
「俺も、言い過ぎたんだ…」
ううん。
絶対2人のせいじゃない。
私が原因なんだ。

なんであの時追いかけなかったんだろ。
すぐに追いかけていれば。

ガタッ
何かと思い、音のする方へ顔を向けた。
そこには、竹井くんが歩美ちゃんの鞄を持って…帰ろうとする所だった。

「竹井くん…?」
ゆっくりと口を開く。
「…ここで考えてても無駄だしな。一旦歩美ん家帰って、歩美がいるか見てくる」
「いなかったら…?」
「いなかったら…探す」
真剣な顔…。
歩美ちゃんのこと大切に思ってるんだ。

「だからお前らは、帰れ」
「え…?」
「なんで!?」
私と友美は驚きを隠せなかった。
だって、歩美ちゃんを傷付けたのは私なんだよ?
竹井くんが1人で探すなんて…おかしいよ。
「…やだよ、竹井くん」
「…え?」
「私も一緒に歩美ちゃん探す!」
「なっ」
「咲月…」
だって…。

「歩美ちゃんは友達だもん!!友達をほっとけるわけないよ!」
「南美…。でも、いつ見つかるかわかんないんだぞ?」
「竹井。咲月は1度言ったら曲げないよ?」
友美が呆れるように言った。
でも、竹井くんを説得させようとしてくれたんだね。
ありがとう。
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