恋咲

「……好きなの?」
私はわからなくて俯いた。
ううん…。
わかりたくなかっただけかもしれない。
自分の気持ちに…。
この時の私は、まだ信じようとしていなかった。
でも、これだけはわかっていた…
「じゃあ、私狙っちゃおっかなぁ~♪」
何故かモヤモヤする。

「えっ!!??」
バッと顔を上げる。
目の前には、さっきの真剣な表情とは違って今にも吹き出しそうな友美がいた。
状況がいまいちわからなくて、キョトンとしていた。
そんな私をチラッと見ると、
「あ~!もうダメー!アハハハハハハ」
急に笑い出した。

「へ?」
ホントに訳がわからなくて、思わず声を出していた。
「ひぃー。お腹いたぁい!」
状況を把握出来ていない私とは違ってさっきの話がツボだったのか、お腹を抱えて笑い続けている…友美。

何かおもしろいこと言ったかな?
私…。
さっきの話を思い返すが、思い当たる節がない。

首を傾げていると、友美が瞳に溜まった涙を人差し指で拭いながら近付いてきた。
そして、くしゃくしゃっと私の髪を乱した。
「かぁわいいなぁ、咲月は!冗談に決まってんじゃん!だぁれがあんな奴好きになるかっつぅの!!」
「友…美…?」
じゃあ、どうして?
そんな切ない顔するの…?
こっちまで悲しくなってくるよ。
友美は笑ってた方が可愛いよ?
だから、そんな顔しないで?
……だから、だから…。
笑っていて?

「友」
~♪~♪~♪~♪
“友美”そう呼ぼうとした時。
友美のケータイが鳴った。
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