恋にキスを
ヒュー……




北風が吹く帰り道。


夕日が広がる空は、寂しげに夜を迎えようとしていた。




「あ、そーいえば来月はクリスマスだねっ☆」



春子から届いたメール。


普通のカップルなら、クリスマスはデートなんかして、ふたりでイチャイチャして。

ずっと一緒にいられるんだろう。



でも俺らには、それができない。



普通のカップルなら当たり前なことが、俺達にとっては夢のまた夢。




『春子にあいてー。』




独り言を言いながら、夕日の中を一人歩いていく。



触れることさえも許されない関係。


そんな関係に、俺はもう限界がきていた。




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