恋にキスを
「もう大丈夫?」
「うんっ…うう~…」
「大丈夫…じゃないな…」
ビルとビルで挟まれた暗い路地にいるあたし達。
大貴は困り果てた様子で、ビルに寄り掛かる。
コントロールできない感情と、大貴と会えた嬉しさが交ざってどうにもできないあたし。
「はる…」
ぎゅっ
「う、うわぁっ…。」
突然あたしを抱きしめた大貴。
冷たい真冬の風が、頬を撫でる。
突然のできごとに、涙も止んでしまった。
「おっ、泣き止んだ!」
「え…?」
「はる、意外と単純なんだな~」
一人頷きながら、また優しく頭を撫でる。
…って、なに一人で感心してんだろっ。