恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
色々と考えながら藍川を見つめていると、藍川は困り顔で笑ってから、あたしを見据えた。
そして―――……。
「……っ?!」
両肩を押されて、そのままベッドに押し倒される。
一瞬の事でついていけなかったあたしの頭がそれを理解して、身体を起こそうとした時には、目の前に藍川がいて。
藍川の身体と両腕に閉じ込められている状態だった。
何もできないでいるあたしに、藍川がくすり、と笑う。
「くるみは、俺に気を許しすぎてる」
「……悪い事なの?」
ドキドキしてる心臓を誤魔化しながら聞くと、呆れて笑われた。
「悪い事だろ。怖がらせようとしたのに、くるみは俺から逃げようとしない。
俺がヴァンパイアだって、忘れたわけじゃないだろ」
「だって、別に襲いかかってくるわけでもないし」
「今、襲われてるくせに」
「……襲う気なんかないくせに」