恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
言い返すと、また笑われた。
学校にいる時よりも、少し表情が感情豊かに思える。
そして、あたしは藍川のこういう一面も知っていた気がする。
本当は、優しい事も、よく微笑みかけてくれる事も。
「どうかな。試してみようか」
わざとなのか、そんな事を言う藍川をじっと見上げる。
藍川は目を細めて微笑んでいて、それはあたしの反応を楽しんでいるように見えた。
「脅しても無駄だよ。なんでだか、あたしは絶対的に藍川を信頼しちゃってるから。
なんでこんなに信じてるのか、自分でも分からないけど……。
藍川を怖がるとか、そういうのはきっとできない。
……期待に添えなくて申し訳ないけど」
気持ちを素直に話すと、藍川は「本当にまいった」と眉を潜めて微笑んだ。