恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


「っていうか、処刑って……、やっぱり簡単にバラしちゃダメなんじゃないっ!」


藍川を、キっと睨んで強く言う。


だって、処刑されるって……。

ヴァンパイア界がどんなモノなのか想像もできない。

けど、藍川が危険だって事だけは分かるから、慌てて藍川の服を掴んだ。


その手を、藍川の手が覆う。

ひんやりと冷たい手であたしの手に触れながら、藍川は優しく微笑んであたしを見下ろした。


「くるみがバラして処刑されるなら、俺はそれでもいいと思ったんだ」


『くるみには』
『くるみなら』

それは、藍川が特別な感情を持ってくれているんだとあたしに気付かせてくれる。

だけど、その告白にはいつも悲しい言葉が続くんだ。


今回続いた悲しい言葉は、あたしの想像を超えたもので、少しの間言葉が出なかった。


処刑されてもいいって……。

それは、つまり―――……。





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