恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「そんな簡単に、命を捨てるの……?」
あたしがやっと言った言葉に、藍川は微笑むだけだった。
その笑顔が頭にきて、藍川の胸ぐらを掴んで、ぐいっと身体を引き寄せた。
「そんなの、許さないから! ヴァンパイアでも人間でも、簡単に命を絶つなんて、許されないんだからっ!
もし、処刑だとかそういう事を言ってあたしを怖がらせるつもりなら、そんなの間違ってるっ!」
「……」
「ヴァンパイアだとしても……、藍川は藍川だもん……っ!
怖がらせようとしたって、無駄なんだからね!」
歯を食いしばって、藍川を睨む。
興奮したせいか、息が少し苦しかった。
藍川は驚いた表情でしばらくあたしを見つめていたけど……、ふっと笑みを零して目を伏せた。
「同じ事を言うんだな……。くるみは」
「え?」