恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
【第六章】
どれくらいの時間、そうしてたんだろう。
薄暗い部屋の中で、藍川とただ見つめ合っていた。
何も言わずに、ただ。
藍川の紫色の瞳があまりに綺麗で。
その奥の感情が知りたくて。
ただ、藍川を見つめていた。
しばらくそうした後、藍川はふっと口許を緩めてあたしに言う。
「随分なめられたもんだな」
「なにが?」
「押し倒されてるくせに、それを気にもしないでそんな風に見つめてくるなんて、俺がその気になっても文句は言えない。
……本当に、試したいのか? 俺に襲う気があるかどうか」
そう言った藍川が、ブラウスのボタンに手をかける。