恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「推薦されて無理やり副会長にさせられても、何もしない会長のせいで面倒な仕事ばかりやらされても、文句も言わないお人よしもいるみたいだけど」
「言ってるじゃん! 確かに推薦されて困ったけど、でもなったからにはちゃんとやりたいし。
それに、藍川の無責任ぶりには毎回毎回文句言ってるでしょっ!
それを聞かないで、自由奔放にふらふらしてるのは藍川でしょ! ……と」
藍川の言葉があたしの事を指しているのが分かって、すぐに言い返す。
けど、ここが壇上だって気付いて、慌ててボリュームを下げてからこっそり周りを見渡した。
生徒は、毎回の事ながら特に議題に興味がないらしく、寝てたり、おしゃべりしたり。
特に目立っていなかった事に安心したあたしを見て、藍川が笑い出す。
「桃井は人が良すぎる」
「……呆れてるんでしょ。だって仕方ないじゃん。性格なんだから」
「別に呆れてるわけじゃない。優しい証拠だろ」
不貞腐れて口を尖らせると、藍川はそんなあたしに優しく微笑む。