恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


「後悔なんかしてないっ。……けど、実際こうなると怖かったりするでしょ。

どんなに好きな相手とだって、初めてそんな関係になったりするってなれば怖くなるでしょ。それと一緒」


藍川は、目を逸らす事なくあたしを見下ろしていた。

あたしの気持ちを読み取ろうとしているみたいな瞳にドキドキする。


「藍川が怖いんじゃなくて、初めてだから怖いだけだもん。

あたしだって、初めての時は本当に怖くて緊張して……」


緊張と恐怖のあまりにペラペラとしゃべって、口を開けたまま止まった。

……自分の発した言葉が信じられなくて。


だって……あたし、初めてを誰としたの?!

初めての時は本当に怖くて緊張してって、まるでもう経験済みみたいなセリフ……。


どう考えたって、今まできちんと付き合った人はいない。

それなのに初体験済みなんて事、ありえないのに……。






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