恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「誰としたの、なんて、そんな疑問俺に向けられても困る」
何かをはぐらかされたみたいな気になって、黙ったまま見上げていると、藍川は口の端をわずかにつり上げた。
「煽られてるみたいで、止まらなくなるから」
「……え、」
一気に縮められた距離。
あたしの首筋に顔を埋めた藍川に、一瞬時間が止まった。
けど、すぐに藍川の胸を押す。
「あ、藍川……っ、」
「くるみの初めて、俺がもらうよ。……もう一度」
「え……」
「心配するな。初めては初めてでも、コッチの事だから」
首筋を舐められて、ぞくっとした感覚が背中を走った。
『くるみの初めて』
『コッチ』
その言葉が示す事に気付いて、さっき感じたぞくぞくはもっと大きくなる。
つまり、藍川が言ってるのは、あたしの血をって事―――……?