恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
初めての行為だから、その後の自分がどうなるのかが分からなくて怖いだけであって。
ただ単純に、牙が突き立てられる痛みだとか、血を吸われる痛みだとかが怖いだけで……。
藍川は、怖くない。
こんな窮地に立たされてるのに、その気持ちだけは頑として揺れなかった。
だから、形こそ抵抗はしたけど、気持ちはどこかで決まってた。
藍川にならって、覚悟が決まってた。
だからきゅっと目を閉じたのに。
「藍、川……?」
首筋を舐められて緊張していたものの、そこから進もうとしない藍川に声をかける。
「ん?」
「まだ吸ってないよね……?」
「ああ」
まさか痛みも感じないうちに、蚊みたいに吸われたのかもとも思ったけど。
藍川が頷くから、行為はこれからなんだと分かってまた緊張が増す。