恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「あの、あまり待たされても緊張しっぱなしでつらいんだけど……」
「それは早く吸えっていう催促か?」
「ち、違うっ……けど、だって本当にハンパじゃないんだってば、この緊張感……」
「知ってる。随分速い速度で脈打ってるし」
あたしの首筋の脈に唇で触れて、直接確認する藍川。
そんな風にされると余計にドキドキしちゃうのに、藍川は更にそこに舌を這わし始めた。
「じゃあ……あの、早く……っていうか、なんであたしの方が『吸って欲しい』みたいになってるの?」
「くるみが急かすからだろ? 待てないって」
「急かしてるんじゃないってば!
緊張するから早くって……血が欲しいのは藍川でしょ! 欲しいならさっさとすればいいのに」
そこまで言うと、藍川はくすっと笑って少しだけ身体を離す。
あたしの顔の両脇に肘をついて、20センチくらい上からあたしを見下ろして優しく目を細めた。