恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


「くるみは本当に騒がしいな。

無理やりベッドに押し倒されてるのに、そんなに威勢のいい女なんかそうそういないと思うけど」

「……だって、藍川は怖くないもん」


何度も言わせないで。

そんな意味を込めて言うと、藍川は穏やかな微笑みを崩さないまま聞く。


「ヴァンパイアなのに?」


これも、数回目の問いかけだ。

ここまで同じ意味の会話ばかりを何度も繰り返されると思わなかった。


もう何度、藍川はこの事をあたしに言い聞かせたんだろう。


『俺がヴァンパイアだって、忘れたわけじゃないだろ』
『ヴァンパイアなんかに、近寄るとどうなるのか』


だけど……考え方を変えれば、藍川はヴァンパイアって事をそれだけ気にしてるって事で。

まるで、『こんな俺でもいいのか?』そう聞かれてる気分になる。



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