恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
じっと藍川を見つめて、どうにか藍川を安心させてあげられる言葉がないかと考える。
藍川は、あたしの顔をずっと見ていた。
微笑んでいるのに、紫色の瞳がなんだか寂しそうに見えるのは……、
きっと気のせいじゃない。
「じゃあ藍川は、あたしが人間だからエサにしか見えない?」
「エサって……」
「それと同じ。ヴァンパイアだからって理由で、藍川を怖いとしか思わないなんて事ない。
藍川は藍川だもん。生徒会長のくせにサボってばかりで、あたしに迷惑ばっかりかける藍川でしょ」
強気に言い切ると、またくすりと笑われる。
「副会長がしっかりしてなければ俺だってちゃんとやるよ。くるみだから任せてる」
「藍川は……、自分を周りから切り離した場所に置いて、いつも距離感を計ってる。
踏み入れられた時、傷つくのは相手だから。
冷たく見えるけど、本当は優しい事だって知ってるんだから」