恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「だからって褒めてるわけでもないけど」
「……あっそ」
「優しすぎるのも問題だ。
……自分を犠牲にされても、俺が困るんだよ」
優しく細められていたハズの瞳に、切なさが混じる。
まるで本当に困らせた事があるような、悲しそうな微笑みを向けられて、一瞬言葉が詰まった。
「どういう意味……、」
「終わった。お疲れ、副会長」
「え、あ……」
藍川の声に壇上の中心に視線を移すと、書記係の2年生が終わりの挨拶をし終わったところだった。
その直後にチャイムが鳴って、体育館内がいっせいに生徒の話し声で騒がしくなった。