恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「本当にいいんだな」
「い、いいってば」
確認されて、きゅっと口を結ぶ。
そんなあたしを藍川はじっと見つめて……そして、真剣な顔のまま言う。
「じゃあ、目を瞑ってろ」
いよいよなんだと、ゆっくりと瞼を下ろす。
トクトクトクトク、自分の心臓の音が増す。
視覚が失われたからこそ、聴覚や嗅覚に意識が集中していた。
藍川の髪があたしのおでこにかかって身体を竦めた時―――……。
藍川の唇が、あたしのそれに触れた。
「……っ」
一度離れた藍川……。
目を開けて、信じられない気持ちで見上げる。
だって……だって、今の……っ。
今の行為がなんだったのか……、キスだったのか、それとも違うのか。
そんな事ばかりが頭の中を巡ってる。