恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


だけど、藍川の唇にわずかに血がついているのに気付いて、困惑してる気持ちは変わらないまま、思わず声をかけた。


「藍川、血、出てる……」


そう言うと、藍川はふっと笑ってから唇についていた血を舌で舐め取った。


「くるみの、な」

「……え、?」

「下唇から血が出てる。さっきから噛みすぎなんだよ」

「え、あ……」

「注意しただろ、何度も」


そういえば……さっきから、噛んでたかもしれない。

そう思って自分の指で触れようとしたのに。


その手を藍川に掴まれて、そのままベッドに両手を押さえつけられる形になった。


そして、戸惑う間もなく距離を埋められて、唇に舌を這わせられる。







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