恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「……っ、な、藍……っ」
じっくりと丁寧に唇を這う、藍川の舌。
時々触れる唇、唇の傷を舌で撫でられるとわずかに走る痛み。
それを感じる度に、びくっと身体が反応する。
しばらく困惑してから、藍川が血を舐め取っている事に気付く。
これは、一種の吸血行為なんだって事に。
「あ、藍川っ! 血なら他の場所からっ……」
「いい。大体今はそこまで飢えてない。味見くらいで十分だ」
「だ、だけど……なんか、やだ……やっ…」
味見。
言葉通り、本当に味わっているような藍川の唇と舌の動きが、心拍数を上げたまま下げようとしない。
唇を舐められるなんて……こんなの、キスより恥ずかしいし!
血をあげるのは、なぜかちゃんと覚悟できてたのに、まさかこんな……。
さっきまでとは違うドキドキが胸を圧迫するから、苦しくて仕方ない。
身体全部が藍川を好きって言ってるみたいで、ドキドキが収まらない。