恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『しわが寄ってる。そんなに吸われたかったのか?』
あくまでもからかうつもりらしい藍川にむっと口を尖らせてから、疑問に思った事を聞くと、藍川はふっと笑って教えてくれた。
『人間をヴァンパイアに変える術を持つのは、王家の血を引く者だけだ』って。
王家っていうのは、人間でいう皇族みたいなものらしくて、直接的に王家の血を引く人達は限られているらしい。
藍川はまさかその王家だったりしないよね?
なんていうあたしの質問に、藍川は微笑むだけだった。
……それって肯定だったりするのかな。
なんかでもすごく王子様的な匂いがするのは気のせい?
校内での“孤独貴族”だの“冷血王子”だの、女子達がそんな風に騒いでいるのが思い出される。
あながちそれも間違っていないのかも、なんて思いながら藍川の部屋を出た。
家まで送ってくれた藍川は、『おじさんは元気?』なんて珍しく聞いてきて。
『元気に動き回りすぎておばさんに怒られるくらい元気だよ』って答えたら、安心したように微笑んだ。