恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


『しわが寄ってる。そんなに吸われたかったのか?』


あくまでもからかうつもりらしい藍川にむっと口を尖らせてから、疑問に思った事を聞くと、藍川はふっと笑って教えてくれた。

『人間をヴァンパイアに変える術を持つのは、王家の血を引く者だけだ』って。


王家っていうのは、人間でいう皇族みたいなものらしくて、直接的に王家の血を引く人達は限られているらしい。

藍川はまさかその王家だったりしないよね? 

なんていうあたしの質問に、藍川は微笑むだけだった。


……それって肯定だったりするのかな。


なんかでもすごく王子様的な匂いがするのは気のせい?

校内での“孤独貴族”だの“冷血王子”だの、女子達がそんな風に騒いでいるのが思い出される。

あながちそれも間違っていないのかも、なんて思いながら藍川の部屋を出た。


家まで送ってくれた藍川は、『おじさんは元気?』なんて珍しく聞いてきて。

『元気に動き回りすぎておばさんに怒られるくらい元気だよ』って答えたら、安心したように微笑んだ。





< 125 / 343 >

この作品をシェア

pagetop